赤ちゃんへの虐待③「負の遺産」を抱える危険性

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虐待とは?

赤ちゃんへの虐待①「育児放棄・ネグレクト」には注意が必要」「赤ちゃんへの虐待②育児放棄・ネグレクトをする親の特徴」にも書いた通り、虐待には様々なものがあります。

厚生労働省は「身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待」の4つを虐待の定義としています。

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また、虐待は今に始まったことではなく、以前もあったものです。以前と比べると、核家族化が進んだこととスマホなどの情報機器が発達したことが現在の虐待に少なからず影響を与えていると思われます。

虐待の影響

最近の研究によると「虐待が連鎖するのでは?」ということが言われています。福井大学の研究によると虐待など保護者などから不適切な関わりを受けた子どもは、そうでない子どもと比べ、脳内の感情処理に関する部分が小さいということが発見されました。また、脳内のやる気や意欲に関わる部位の活動が低下しているそうです。

これは非常に大きな問題を含んでいます。一つは「虐待の連鎖」で、もう一つは「家庭や学校現場の混乱」です。

「虐待の連鎖」に関しては、児童相談所などが関わる虐待のケースにおいて親への聞き取りなどが行われています。

これまでは、虐待の連鎖については、自分が子どもの時に虐待をされ、それがモデルとなって、自分が親になった時にも虐待をしてしまうという説明がされていました。しかし、今回の福井大の研究によって違う説明ができるようになりました。

子どもの時に虐待などを受けた場合、脳内の感情処理などの部位の育ちに不十分な部分が出てしまいます。そういった状態で大人になります。自分が親になった時、子育てでは自分の思い通りにならないことが多いです。

そこでちょっとしたことで自分の子どもへ暴力を振るってしまうということです。虐待を受けた子どもは、脳の発育に影響が生じ、自分が親になった時にまた虐待をしてしまうという「虐待の連鎖」が起こってしまいます。

二つ目の「家庭や学校現場の混乱」は、これまで一般的に用いられてきた指導法(関わり方)がうまくいかない可能性があるというものです。

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これまで、虐待などの影響で、反応性愛着障害(RAP)になった子どもなどには、「褒めながら育てる」というやり方が用いられてきました。しかし、今回の福井大の研究によると、場合によっては褒めてもそれが効果的に伝わらないということが出てきます。

この件に関して、希望が持てるような話題もあります。

一つは「脳の補完機能」です。人間の脳は、一部が機能が失われた時に他の部分が失われた部分の機能を補おうとするという機能があります。

乳児期、幼児期に保護者などから不適切な関わりを受けたとしても、その後の人生においてリカバーすることができるのではないかと考えることができます。

もう一つが、「研究が進んでいること」です。以前よりも子どもの心理や発育に関する研究が熱心に進められています。新しい測定機器なども開発されています。

そういったことが進むことによって、これまでとは違う説明ができるようなものが出てきています。今後に注目です。

親が子どもに残せるもの

親は自分の子どもに様々なものを伝えることができます。「脳の機能障害」のような負の遺産を残すこともありますが、逆もあります。親の関わり方次第では、子どもが様々な分野で才能を発揮したり、豊かに育ったりすることができます。

望ましい生活習慣を付けることによって、一生より良く暮らすことできるような「正の遺産」を残すこともできます。

親の存在はとても重要なもので、改めて考えると、少し不安になってしまったりもします。あまり構えることなく、一日一日をより良く暮らしていくことが子どもの健全な発育につながるのだと思います。

 

 

執筆者

鈴木 邦明(すずき くにあき)
小田原短期大学 保育学科 特任講師

小学校の教員として22年間勤め、現在は短大で健康教育を教える。
「心と体の健康」をテーマに、健康教育、幼保小連携、学級経営など幼児・児童に関する多方面な研究活動を行う傍ら、執筆や取材協力など多数手掛ける。

研究用HP
http://www.geocities.jp/ks20010630/

 

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