赤ちゃんの健やかな成長を願う行事の数々②~今生きていることを奇跡と思いたい~

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前回(「赤ちゃんの健やかな成長を願う行事の数々①」)に引き続き、伝統的な風習について書いていきたいと思います。

「初節句」「一升餅」「七五三」

「初節句」は、赤ちゃんが生まれ、初めての節句の際に健やかな成長や魔除けなどの意味で行われるものです。女の子の場合は「桃の節句」、男の子の場合「端午の節句」と呼ばれます。

一歳の誕生日には「一升餅」を作り風習もあります。「一升餅」は、約1.8kg(一升)のお米を使って作るお餅です。「一升」と「一生」をかけ、「一生健康で過ごせるように」「一生食べ物に困らないように」という願いが込められたものです。

丸められたお餅を背負って歩くことが多いようです。うまく歩くことができれば健康に育ちますし、転んでしまう場合も早く独り立ちせず家を守ってくれるという意味で良いという解釈がされています。

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現在では割と一般的に行われている「七五三」も子どもの健やかな成長を願って行う風習です。江戸時代、関東地方を中心に行われていたものが全国的に広がっていったとされています。

七五三は別々の行事が一つにまとめられたものです。三歳では「髪置きの儀」と言い、主に女の子が髪を剃るのを終えるもの、五歳では「袴儀」と言い、男の子が袴を着用し始めるもの、七歳では「帯解きの儀」と言い、女の子が大人と同じ帯をやり始めるものとされています。そういった別々にあったものが、時代と共にまとめられ「七五三」と呼ばれるようになりました。

「千歳飴」は、長生きができるようにという願いがこもったものです。関東地方の一部(埼玉、千葉、茨城)では、七五三のお祝いを結婚式の披露宴と同じ規模で行う場合もあるそうです。

長生きへの思いが込められた行事

どの風習においても「長生き」というものが願いとして込められています。これは現代との医療事情の違いなどが大きく影響していたと考えられます。

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乳児死亡率(一歳までになくなってしまう子どもの割合)について見ると、2015年の統計では、1000人中2人の赤ちゃんが亡くなっています。約120年前の1899年の統計では、同じく1000人中154人の赤ちゃんが亡くなっています。

現在の約80倍になります。江戸時代には、半分くらいの赤ちゃんが一歳を迎えずに亡くなっていたという史料もあります。江戸時代などは、平均寿命が30歳前後だったとされていますが、数値の低さはこの乳児死亡率の高さが大きく影響を与えていたと言われています。

医療技術が進み、亡くなってしまう赤ちゃんは以前と比べ、随分と少なくなりました。しかし、世界に目をやると厳しい現状もあります。

アフリカの西側にあるシエラレオネという国では2015年の統計で1000人の赤ちゃんの中約100人が亡くなっているのだそうです。日本の約50倍です。

「今」の「日本」に生まれてきた奇跡

現在の日本においては、赤ちゃんは元気に育っていくのが当たり前のように思えます。しかし、それは本当にありがたいことであり、もし日本に生まれていたとしても時代が違っていたら、状況は違っていたはずです。

また、今、生まれてきたとしても生まれてくる場所が違っていたら、また状況は違っていたはずです。

赤ちゃんが「今」の「日本」に生まれてくることができたことは本当に幸運なことなのだと思います。「初節句」や「七五三」などの行事を行う際、そういったことに少しでも思いを馳せることができればと思います。

 

 

 

執筆者

鈴木 邦明(すずき くにあき)
小田原短期大学 保育学科 特任講師


小学校の教員として22年間勤め、現在は短大で健康教育を教える。
「心と体の健康」をテーマに、健康教育、幼保小連携、学級経営など幼児・児童に関する多方面な研究活動を行う傍ら、執筆や取材協力など多数手掛ける。

研究用HP
http://www.geocities.jp/ks20010630/

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